【樹脂版作成】細い線や細かい図柄

樹脂版で細い線や細かい図柄で作成する場合に上手く作成できない事が多くあります。
具体的ないくつかのポイントを知っておくことで対処できる方法がございます。

樹脂版の硬化

樹脂版は光に含まれる紫外線にて硬化が進んで行き、水に溶けにくくなっていきます。
紫外線(光)の量が少なかった場合硬化しきれず、水に溶けブラシでこすると落ちて行きます。

上の写真のイメージで「洞窟に少しの光が差し込んでいる場合、底の部分まで届く光が弱く少なくなります」
これを樹脂版内部でおこっていることと考えますと、上層部は光があたるが、底辺部は光が弱く少なくなっていると想像できます。
樹脂版も透明度が高くないですから、上の洞窟の写真よりも底辺部まで届く光はかなり弱く少なくなっている事になります。

水で洗い出しをする場合の上層部では「細い線や細かい図柄がうまくできている」状態がほとんどですが、最後の底部まで洗い落としていく段階で、図柄が欠けたりする事がほとんどとなります。

樹脂版上層部では硬化しているが、底辺部では硬化していなかったという事が多くあります。

それに対して、光が多く取り込まれる個所では、底辺部まで十分に強く多くの光(紫外線)があたることになり、樹脂版の硬化不足や欠け等はおこりにくくなります。

ネガフィルムの精度と密着

ネガフィルムが樹脂版に密着していなかったり、そもそもネガフィルムの図柄がぼやけていると、光の入り方もぼやけた形となります。
樹脂版の図柄が全体的にぼやけたり、本来の線より太くなるなどは、「樹脂版に余分な光が入り込んでいる」状態となります。

樹脂版の仕上がり具合から考える

洗い出しを終えた樹脂版で満足いかなかった部分はどんなポイントでしょうか?

・図柄が欠けている

・線や文字が太くなっている

・図柄が全体的にぼやけている

上手くいっていない箇所の症状から改善点を絞っていきます。

【図柄が欠けている】
光が底辺部までとどいておらず、硬化しきれていないまま洗い落としてしまった。
この場合の改善策として2つの方法がございます。
1.より強く長く光を当てる
2.樹脂版の洗い出しを半分程度までにしておく
樹脂版は底辺部まできれいに洗い出ししておきたくなりますが、樹脂版の見た目の仕上がりよりも、「印刷や刻印をした作品の仕上がりが最も重要です」樹脂版上層部ではきれいに図柄ができているので、崩れるまで洗い出しせず、途中まで洗い出しするのをお勧めします。
また、半分程度の洗い出しでも0.5mmから0.8mm程度の凸部が作成できることとなります。
刻印やレタープレスで実際に押し込まれている凸部は0.3mm前後となりますので、樹脂版を底部まで洗い落とすことにこだわらないことが重要となります。

【線や文字が太くなっている】
ネガフィルムで作成した線より太くなっている場合は「樹脂版にそれ以上の光が入り込んでいる」のが事実としてあります。
ここは色々な要素が考えられますので、実際に感光している状態をじっくり観察して考える必要があります。
太陽光、UVライト(蛍光灯タイプ)、UVライト(LEDタイプ)さらにはワット数やライトの特徴によっても分かれる事があります。
ネガフィルムを貼った面から光が余分に入ってきているのか、樹脂版を通り終えた光が背面側から反射して戻った光で硬化したのか、
または、UVライトの場合反射板で全体から光で包むような構造となってる場合黒い紙等で反射する光を抑え込む事が必要となるか。

【図柄が全体的にぼやけている】
ネガフィルムの精度や遮光する黒印刷部分は重要となります。うっすら光を通してしまうネガフィルムでは、図柄以外の部分も硬化させてしまいます。

ネガフィルムの完成精度、光の質や照射する角度、樹脂版をどのように光が透過しているか、ネガフィルムと樹脂版の密着具合・・・。
半分は科学の領域に入っていきますが、作品を作成する想像する楽しみ、また集中する時間、打ち込める喜び。
作成した作品を誰かに認められる、褒められる喜び。好きな事をやってるだけなのに、沢山の喜びを得る事ができます。

焦らずに進める事が大事だと感じます。締め切りもないし、時間の無駄でもない、上手くいかなかった事も含めて好きな時間を過ごせていると考えられるといいなと思います。

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